ゆっきゅんがジャニーズWESTに楽曲提供をしたので自分の人生を振り返った

 

 

ゆっきゅんがジャニーズWESTに楽曲提供(作詞)をした。20thシングル「しあわせの花」初回限定版Aのカップリング曲で、ツイートにもある通り製作陣からのご指名があったらしい。タイトルは「恋は負け認めなきゃ勝てない」。

先にお伝えしておくと私はゆっきゅんのファンでもジャニーズWESTのファンでもない。ただ、なんドリ5*1の更新を楽しみにしながら気付けば過去回を4周くらい聞いていたし、金曜の夜はY2K新書*2を聞いてたくさん笑わせてもらっている。私は今ジャニーズWESTの直属後輩グループであるAぇ! groupを応援していることもあるし、番組が面白いのでリア突もイキスギさん*3TVerでお気に入り登録をして毎週見ている。友達のお姉さんが濱田くんのファンなのでコンサートに連れて行ってもらったこともあるし、セラヴィ*4のマルチアングルは今からでもいいから出してほしいと思っている。

ファンではないけど、名前は知ってるよ〜くらいの人よりは自主的に活動を追っていて親しみを持っている状態ってなんて言えば良いんだろう。リスナー?茶の間?とにかく私はゆっきゅんに対してもジャニーズWESTに対してもそんな感じの人間で、べつに推しと推しのコラボでもないのになんでブログまで書いてるの?って感じではあるのだけど、個人的に感慨深いものがあったので書いている。タイトルの通り自分の人生を振り返ってしまったので信じられないくらい長い。

 

子供時代:ジャニーズへのコンプレックス

私がジャニーズにハマったのは大学生だった2016年の冬で、実はそれまではジャニーズのことが苦手だった。

いま思えば「ジャニーズが苦手」という認識の中には「小中学生のとき学校の中心にいる苦手なクラスメイトが熱烈なジャニオタで、その子の影響で周りの友達がみんなジャニーズのことを話しているのが嫌だった」とか同居する祖母に「女の子なんだから◯◯しちゃダメ!」「女の子なんだから◯◯しなさい!」と言われすぎて「女の子らしいもの、女の子が好きそうなもの」すべてに対して嫌悪感があったとか、そういう複合的な事情も含まれていたと思う。

元々の極端な性格も相まって、黒っぽい服しか着ない、スカートは履かない、ピンクのものは選ばない、ジャニーズのタレントがテレビに出ていたらなんとなくチャンネルを変えるということまでしていた。今振り返るとなんて偏屈で頑固な子供なんだろうか。それでもごくせんや花より男子など見ているドラマもあったけど、学校で「◯◯ちゃんはそういうの見ないよね笑」的なことを言われたから見ていることを言えなかった。

学校に馴染めず、友達がいなくてつらかった記憶の中心には、小学生の頃から熱烈なジャニオタだった苦手なクラスメイトがいる。だからジャニーズも苦手だった。こじつけすぎてごめんなさいという感じなのだけれど。

 

そんな偏屈すぎる子供時代に私が何を好きになったかといえばロックバンドと少年漫画だった。私が小中学生だった頃はAKB48がものすごい勢いを持っている時代で、テレビでもスーパーの有線でも48グループの楽曲が流れ、クラスメイトはみんなジャニーズかAKBか少女時代かKARAが好きだった。アイドルに興味ない人は週刊少年ジャンプなどの少年漫画やアニメ、ボカロなどの二次元コンテンツが好きだった気がする。私は少年漫画は好きで読んでいたけどアニメはあまり見ず、腐女子の扉を開けることもなかったから「秘めごとを共有する仲間」みたいなコミュニティには入れなかった。

学校って居心地悪いな〜〜〜みたいな生活を送る中で、私はたまたまテレビで見たロックバンドの楽曲に胸を掴まれた。普段テレビでよく目にしていた明るいポップスとは違うシンプルなギターメインの楽曲が10年くらいしか生きていない私にとっては新鮮だったのだ。そこからそのバンドが影響を受けたバンドなどを遡ってロキノン*5なんて言葉を知り、ゆらゆら帝国やらNUMBER GIRLやらテレビを見ているだけでは知れなかった音楽を聴き始めた。MySpace*6で地方のライブバンドなんかも探して聞いていた。この時点で中学1年生。そりゃ友達もいないはずである。私はそんな感じでライトな「サブカル」に足を踏み入れた。

 

2016年春:ゆっきゅんとの出逢い

ゆっきゅんのことを知ったのはおそらく2016年の春くらいの頃だったと思う。ゆっきゅんが自主制作のZINE「夢じゃない」を販売していた頃で、男の子が男の子のまま可愛い洋服に身を包む姿が私にとっては衝撃的だった。

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それまで私は女の子らしいものが好きな男の子は、見た目を女の子に寄せるものだと思っていたのだ。髪を伸ばしたり、目を大きくぱっちり見せるためにカラコンを入れたり、「女の子らしいものが好きで、女の子になりたい」という考えを持っている人たちばかりだと思っていた。ジェンダーレス男子と言われるようなタレントもいたけど、ゆっきゅんはそのひとたちともまた雰囲気が違っていた。このZINEの最後のページに書かれていた文章を一部引用する。

誰がなんと言おうとぼくは男性です。可愛いものが大好きで美しいものに憧れる男の子、この存在に一切の矛盾はない。

私は小さな頃から「女の子らしいもの」への反発心を内面化しすぎていたため、女の子らしいものが好きじゃないということは私は男の子になりたいのか?と一瞬くらい悩んだこともなくはなかった。でも私がスカートを履きたくなかったのもピンクのものを持ちたくなかったのもジャニーズを見たくなかったのも、それ自体が嫌いと言うよりも、それを選び取る自分が祖母(社会)の押し付ける「女の子らしさ」に屈服するようで、それが嫌だったのだ。

そしてこの無駄で頑固な反発心は大人になればなるほど私の生活の邪魔をしてきた。メイクやファッションに興味を持っても素直に実践できなかったし、そもそも可愛くなりたいと思うことに対しての恥ずかしさが消えなかった。

女の子らしいものに反発したくても私は女性だし、背は低くて体型も女性的だし、可愛いと思ったスカートだってワンピースだって着たい。着ればいいって分かっているけど、ずっと自分に刷り込んできたものを変えるのはなかなか難しかった。そんな風にモヤモヤしているときに、ちょうど「夢じゃない」を見たのだった。

このZINEの中でゆっきゅんはゆっきゅんのままウェディングドレスや振袖やロリータ服を軽やかに着こなしていた。一般的に女の子が着るとされている服装以外にも「甘酸っぱい思い出の中のいつかの男子高校生」「魅惑の美少年」をコンセプトにした写真もある。性別なんて関係なくて、とにかくゆっきゅんの夢を実現させた内容だ。私はそれを見て、自分が惹かれるものを素直に受け入れずに「女の子らしいもの・女の子が好きそうなもの」をとにかく忌避してきた自分がいかに頑固で無意味な呪いを自分に掛けてきたのかを悟ったのである。

私が好んで選び取るものは私が女の子だからそうするのではなく、ただ私が好きだと思うからそうするのだ。ゆっきゅんが男性のまま可愛いものが大好きで美しいものに憧れるように。そんな当たり前のことに気付いて、やっと自分で自分のことを解放させられるようになったきっかけのひとつがゆっきゅんという存在を知ったことだった。

 

2016年冬:関ジャニ∞にハマる

このとき私は居酒屋のバイトを始めて、深夜に帰宅することが多くなっていた。慣れない作業に疲弊し、食器洗いで乾燥した手に冬の空気はとても冷たい。一人暮らしの家に帰ってきて、なんとなくテレビをつけると見たことあるタレントたちがゲラゲラ笑いながら床を転がっていた。関ジャニ∞だった。

いつものようにチャンネルを変える癖が出そうになるも、私はとても疲れていたし、テレビの中で笑い転げる彼らがとにかく楽しそうだったからそのまま見ることにした。それは「ジャニーズたるものどんな時もイケメンのはず!スポーツ中のワンショットでイケメン度を競う!」という企画*7だった。激しく動くスポーツの最中にキメキメのイケメン写真ばかりが撮れるはずもなく、表情や髪型が崩れている写真に対して彼らは「初老や!」「カッパや!」「手がきしょい!」と容赦なく大喜利のようにツッコミを浴びせていく。

気付けば私もゲラゲラ笑っていて、毎週バイト終わりにこの番組を見るようになり、時間が合わない時は録画までするようになった。他のコーナーも全部が面白かった。というか関ジャニ∞が面白かった。それでもやっぱり今まで食わず嫌いしていたコンテンツに対して急に掌返しできるはずもなく、「まさか自分がジャニーズ好きになるなんて…」と受け入れられない期間が長くあった。そんなある日Twitterに転載されていた関ジャニ∞の過去のライブ映像を見てしまい、そのあまりの熱量に衝撃を受けた。断片的に流れる歌詞から楽曲を調べて、その楽曲が収録されているライブDVD*8を購入した。ちょうどそのライブはバンドセットから始まるもので、元々バンド音楽が好きだった私でも親近感を持ちやすいものだったのだと思う。全身真っ赤の衣装に身を包んで真っ赤なマイクコードを握りしめて歌う渋谷すばるさんを見たときに「あ〜〜〜〜こりゃ好きになるわ」と思った。お手上げだった。

「まさか自分がジャニーズを好きになるなんて…」と思う気持ちはずっとあったけど、それでも彼らの過去の作品や番組について調べたり、メンバーの関係性について思いを馳せたり、リアルタイムで更新されていく姿を見たりすることが本当に楽しかった。どんな偏屈な私の考えもシンプルに面白さの前ではどうしようもなかった。

関ジャニ∞を好きになってから、自分が今まで持っていた偏見がいかにつまらなく、自分の見える世界を狭めてしまっていたかということをより一層強く感じるようになった。中学生の頃から中途半端なサブカルに足を踏み入れていた私にとっては関ジャニ∞の「やる気あります!這いつくばります!前向き!前向き!」みたいな姿勢は新鮮だった。これは偏見かもしれないがサブカルは大抵やる気を見せないとか前のめりじゃない斜に構えた姿勢が良しとされるところで、ガツガツしてやる気を全面に出す人たちをあまり見たことがなかった。ただ自分が大人になると涼しい顔をしているだけではどうにもならい場面があるということも分かってきて、そういう場面でダサくても泥臭く踏ん張ることができる人はものすごくかっこいいのだとを関ジャニ∞を見ていて学んだ。私が偏見を持ちずっと嫌っていた「ジャニーズ」はとても面白くてかっこよかったのだ。

 

2018年春:渋谷すばる脱退発表

そもそもがジャニオタではないので、関ジャニ∞が好き!と自覚したところで、すぐにFC入会して現場に備えるという行動を取れるはずもなく、私は2017年夏のドームツアーの参加を見送っていた。「ジャニーズのコンサートって女の子たちがたくさん来て、うちわとか持つんでしょ?ていうか何でうちわ持つんだろ??なんかこわいな???見たいけど、まだ私には早い気がするし、次の機会で見れたらいいな!」なんて思ってチケットを応募することすらしなかった。結果的にそのツアーが脱退前7人での最後のツアーになるなんて知らずに。

なにかしらのオタクをしている人なら「推しは推せるうちに推せ」なんて言葉は馴染み深いと思うけれど、当時の私はその言葉の意味をこの時はじめて知った。2019年のツアーを6人で完走したあと錦戸くんも脱退を発表して、関ジャニ∞は5人になった。渋谷さんも錦戸くんも個人活動を続けているとは言え、「次の機会で見れたらいいな!」なんて先延ばしにして良いことなんてないのだと身に染みて分かった。

 

2023年5月:そして今

私は関西ジャニーズJr. Aぇ! group 福本大晴くんのオタクをしている。きっかけはいろいろあるのだけど、軽い気持ちで「僕らAぇ! groupって言いますねん」関西凱旋公演*9を見に行ったことが大きかったと思う。舞台を見たあと、Aぇ! groupがどんなアイドルになっていくのかを見るのは楽しそうだなと素直に思ったのだ。

この舞台は関ジャニ∞横山くんのプロデュースで、Aぇ! groupのメンバーは本人役として登場する。コメディをベースにダンスやミュージカルやバンドなどを織り交ぜてメンバー6人の個性を披露していくような内容だった。横山くんはそもそもAぇ! groupのメンバー選出や命名にも深く関わっていて、Aぇのメンバーカラーと担当楽器が関ジャニ∞とほぼ同じだと気付いたときは卒倒しそうになった。

私は渋谷さんが脱退してきっぱり降りた!というわけではなかったものの、次第に関ジャニ∞を追う時間は減っていた。そんな中で新しく気になるアイドルが出来てしまい、しかもそれが完全に関ジャニ∞の流れを汲む後輩グループだったことで、自分はジェネリック的消費*10をしているのではないか…?という罪の意識がないわけではなかったどころかバリバリあった。

ただ、私はもう知っているのです。「まだ私には早い気がする…次の機会で見れたらいいな!」なんて思っていると次の機会なんて来ないのです。そう、恋は負け認めなきゃ勝てないのです。

好きかも?と思ったらそれはもう好きなんです。すでに負けているのです。好きになりたくない!とジタバタするのもそれはそれで楽しいけど、早く認めて次の行動に移した方が絶対にいい。その方が楽しいことがたくさん待っている。まあ世の中には絶対に好きにならない方がいいものもたくさんあるでしょう。そこは自己判断でお願いしたいけど、チケットは申し込まなければ手に入らないし、なんなら申し込んでも手に入らないのだから。

アイドルのことを一方的に好きでいるだけのことに勝つも負けるもないけど、何事においても自分の「好き」という気持ちには素直になった方が良いんじゃないかな?と私は思う。もしかして世の中の人たちは私のようにクソ頑固ではなくて、それを当たり前に出来ているのかもしれないけれど、私は長年それができなくて無意味に苦しんでいた。

それを少しずつ解放できるようになったのはゆっきゅんという存在を知り、関ジャニ∞を通して今まで苦手だったコンテンツのことを好きになって自分の価値観が覆る経験をしたからだ。今の私はスカートだってワンピースだって好きな服を着れるし、ピンクのものだって手に取ることができる。自分の好きなようにメイクをすることにだって抵抗がない。もちろんゆらゆら帝国NUMBER GIRLも好き。好きなものを素直に好きだと思える状態ってすごく心地が良い。

ジャニオタになってしまったことで、それまでジャニーズの話を特にしていなかった友人(元々ジャニオタだったり私と同様に最近好きになったり)と共通の話題ができたことも嬉しい副産物だった。ジャニオタのアカウントじゃない方の趣味のアカウントで10年くらい相互だったフォロワーがいつのまにか正門担になっていてソロコン*11の時に初めて会うことになったのも、関ジャニ∞のオタ垢で相互だった人とAぇのオタ垢で知らぬ間に相互になっていたのも面白かった。

ジャニオタ、特にジュニア担はなにかと「愛の地獄だな〜〜〜〜〜*12」と思うことも本当に本当に多いのだけれど、Aぇ! groupはどんどん大きくなって多くの人に愛される姿を見せてくれるので、楽しく追わせてもらっている。早めに負け認めて現場に行って良かったなと思う。

 

最後に

話がまとまらなくなってしまったが、自分で自分に掛けていた無意味な呪いを解く勇気をくれたゆっきゅんとジャニーズが交わると知って、自分の人生を振り返ってしまったというブログでした。

ちなみに「恋は負け認めなきゃ勝てない」が収録されているシングルの表題曲は「しあわせの花」で、こちらは私が応援しているAぇ! group 福本大晴くんの初出演連続ドラマ「ゲキカラドウ2*13」の主題歌である。こじつけだけど、これもなにかの縁だね?6月7日発売、とても楽しみ!ゆっきゅん、作曲の高橋諒さん、そしてジャニーズWESTさん、名曲をありがとう…

しあわせの花|ジャニーズWEST|Johnny's Entertainment Record

↑恋負けも少しだけ試聴できます。当たり前だけど別にドルオタの心情を歌った曲ではない。

 

 

*1:ゆっきゅんのPodcast番組「なんかドリンクバー5時間目」

open.spotify.com

*2:TBSラジオPodcast番組。作家の柚木麻子、振付師の竹中夏海、DIVAのゆっきゅんがY2Kカルチャーを語っている。5/19更新回、好きなものを好きだと言おうという話をしていて、めちゃくちゃ良かったのでリンクを貼ります。

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*3:リア突WEST(ABCテレビ)、DEEPな店の常連さんに密着 イキスギさんについてった(TBSテレビ) どちらもジャニーズWESTのレギュラーバラエティ番組

*4:

youtu.be

*5:雑誌ROCKIN'ON JAPANに掲載されていたり、ロッキングオンが主催するフェス等に出演しているバンドのこと。おそらく死語。

*6:デモ音源などを公開できるSNS。全世界にユーザーがたくさんいたが、数年前に12年分のデータが吹っ飛んだというニュースを見た。今も生きているのかはよく知らない。

*7:関ジャニ∞クロニクル(フジテレビ、2015年〜2022年放送)の中のイケメンカメラ目線。本来は土曜昼の放送だが、私の住む地域では金曜深夜に再放送していた。

*8:JUKE BOX(2014)

*9:2019年。4月に東京グローブ座で行った公演を8〜9月に関西4都市で再演した。再演かつ会場が僻地ということもあってか比較的チケットが取りやすかったのです。

*10:元々好きだったものの代替品として消費すること

*11:2022年春の松竹座公演。正門良規 Solo Live SHOW with 関西ジャニーズJr.

*12:Aぇ! groupのオリジナル楽曲「Firebird」の歌詞

*13:テレビ東京で毎週木曜24:30から放送中。ジャニーズWEST 桐山照史くん主演。